お金と時間について

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『ウォール街のランダムウォーカー』感想

社会に放り込まれた猿です。
みんな大好き『ウォール街のランダムウォーカー』を読みました。

法則や統一的な理論を求めてしまうという人間の特性は基本的には美しいものだと私は思うのですが、そのような理論が不完全であるにも関わらず、現実にそれを投影しようとすると非常に醜悪な事態となります。
特に未来を予測するということは非常に難しい。
カール・ポパーは『歴史主義の貧困』の中で人間の歴史の将来の道筋を予測することはできないとしています。歴史主義とはまさに不完全な理論を現実に投影するようなものだと猿は考えています。

本書は構成としてファンダメンタルとテクニカルがいずれも投資の方法論として確立されていないことを指摘し、結論として分散をすすめ、最後にHow toを載せています。本書は序盤で、熱狂が砂上の楼閣を生むことに言及しています。市場はまさに人間の思惑そのものだというわけです。
そのような不確定な市場に分散投資することは無数の個別事情による影響を薄め、市場全体に期待することへ繋がります。
この考えは現在広く支持されています。
この投資方法がすすめられる理由としては、方法論として大負けも大勝ちも避けるものであること、その方法をすすめることで紹介者が損しないこと、簡単であること等があげられるのではないかと思います。
かくいう猿も投資のメインはインデックスです。
一方で、本書の著者は、市場というゲームに興じることも、悪いことだとはしていません。人によって取り得るリスク等を紹介したうえで、そのような立場をとることは良心的だなと思いますね。

本書のコンセプト自体はあまりにも有名になってしまっているものですが、市場がどんなところであるのか、まさにウォークしてきた著者が歩いてきた道がうかがえるような記述がみえた点が面白かったです。