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「フランスにおける情報に対する所有権」

森田論文でフランスの所有権に興味を持ったので、原恵美「フランスにおける情報に対する所有権」を読みました。

フランス所有権法についてとても分かりやすくまとまっています。

 

古典理論が、不動産所有権の絶対性、流通可能性確保のために、封建時代の重畳的な所有権を排除する必要があったという点は、そう だった!と膝を打ちました。
現代理論が利益を享受するために排他的に把握する効用を重視して所有権の対象物を画し、構造アプローチが所有権を物の描写によって説明するものとすることで、 絶対性を確保したという説明をふまえることによって、ようやく、森田論文でよく分からなかったモデルについて理解できました。

 

この論文では、題名の通り、情報がメインの対象として語られています。
所有権を価値で把握するというのは、おそらく実社会の要請なのだと思われます。
しかし、情報について所有権を認めて、本当に達成したいことがかなえられるのか(他人に対する行為請求は導けない)、弊害はないのか(財産として流通する可能性、 情報概念の不確定性)という点について触れられている点が良かったです。
また、議論の流れを追うことで、日本とフランスの法に対するスタンスの比較をみることもできました。

 

近年、情報の重要性について耳にしない日はないのですが、それに対してどのようなスタンスで向き合うかという点については難しいですね。